キッチンカーの醍醐味
食品スーパーやホームセンターなどの商業施設だけでなく、オフィスビルの下や屋外イベントでも頻繁に出店しているキッチンカー。
東京都のキッチンカーの登録台数は、1993年度から2013年度の20年間で395台から2734台と7倍近くも増加しました。
以前は、キッチンカーを運営している多くは個人事業主。無数にある職業の中からキッチンカーを選ぶ理由は一体何なのでしょうか。その醍醐味に迫りたいと思います。
自由
近年、多くの企業が採用活動の場で「ライフワークバランス」という表現を使って、仕事と生活のバランスを取れた働き方ができることをアピールポイントとしています。「家族や個人の時間を大切できる仕事」「自分のペースで自由に稼げる仕事」を求める人が多くなっている証拠です。世の中には、様々な働き方がありますが、自由というキーワードでみた時に、キッチンカーは自由を最も実現できる働き方のひとつと言えます。「自由に働くことができる」これこそがキッチンカー事業の最大の魅力です。
「何を売りたいか」「どんな車で売りたいか」はもちろんのこと、「いつ出店するか」「週何日出店するか」「どこで出店するか」すべて自分自身で決めることができます。
週末のイベントを収益源としている方の中には、平日は材料の調達などの準備に当てて、平日の出店はほとんどしない方もいます。また、平日は会社勤めをして、週末に副業として出店をされている方も多数います。
休みの取り方ももちろん自由。ゴールデンウィークやお盆休み、年末年始の稼ぎ時に集中的に出店し稼ぎ、その後に大型連休を取って旅行や趣味に没頭するといったことが可能なのです。
稼ぐ
日本固有の終身雇用制度が崩壊した今、「自分で稼ぐ」ことを選択することは決して珍しいことではなくなり、また他人事でもなくなりました。
キッチンカーの登録台数が年々増加していることも、今の日本社会を反映している証拠のひとつつだと考えられます。
キッチンカーの収益モデルは極めてシンプルです。
売上から、材料費を引いたものが粗利益。粗利益から、場所代、車両代、駐車場代、ガソリン代、光熱費などの経費を引くと営業利益が求められます。そして、営業利益の中から、運転資金を引いたものが会社員の月給に相当する収入となります。
一日一日の積み重ねである以上、売れる場所を確保し、集客力を上げるための工夫を凝らし、回転率を上げていくことがキッチンカーを続けていくための生命線です。
必要とする収入から売上の目標を設定し、それを達成するために「どこで」「何日」「どれだけ」売れば良いのか作戦を立て、ダイナミックに実行していく。受け身ではなく攻める働き方ができるのもキッチンカーの醍醐味です。
ライフワーク
「いつかは自分の店をもちたい」と夢を描く人は無数にいます。しかし、固定店舗を開業しようとすると様々な壁に直面し、頓挫する人がほとんどです。一番の壁は資金面です。店を構えるだけで少なく見積もっても1,000万円は掛かってしまいます。
一方、キッチンカーの場合、車種や改造内容によって変わりますが、200万円〜500万円程度で製作できるため、低資金で開業することができるのも魅力のひとつです。また、開業後に発生する経費をみると、キッチンカーは固定店舗と比べ固定費の割合が少ないことが分かります。
固定店舗では固定費が高額になるため損益分岐点も高くなります。そのため年を重ね体力的に厳しくなって「休みたくても休めない」いう問題が起こります。それに対し、キッチンカーは固定費が少ないため損益分岐点が低くなりますので、自分の体力と相談しながら続けやすいビジネスと言えます。
自身の経済状況や体力に合わせた働き方ができるキッチンカーは、超高齢社会となった今、第二の人生の選択肢として今後ますます注目を集めることでしょう。